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+ No23 + 「晴れ舞台」


ちょっと話は前後するけど、このAF3コニーにはイベントや取材とは別に脚光を浴びたもう一つの出来事があった。
それは1997年のこと。この年、愛知機械工業は本社の新社屋が名古屋市熱田区の白鳥に完成し
8月から新本社として稼動していたのであった。

本社

それまでの旧社屋と違って、正面1階には綺麗な広いロビーが備えられ、
道行く人々からも見えるような造りとなっていた。
本来はこのロビーに、発売されたばかりの日産車を飾って一般の人に見て貰い
購入に繋がるようにとの考えで開設されたみたいだけど、
ここに我々のコニーちゃんを飾ってもらうぞというのを新社屋が落成した時から狙っていたのだ。

そしてとうとうその時がやってきた。
日産の新車発表が無い時期だったからなのか、「今なら本社ロビーに飾っても良いよ」と。
もちろん二つ返事で了解、総務の気が変わらないうちに急げ!とばかりに速攻で搬入することにした。
どの車を持っていくか迷ったが、1台じゃあ寂しいから2台にしよう、色も明るいほうが華やかだから
赤いのと青いので、と決めてしまったような気がする。まあ自分達でレストアを完了させた2台だから、順当な選択か。

ところでクラブ活動は就業時間外に行なうのが決まり、だけど本社への搬入は就業時間中にやるようにとのこと、
はてどうすれば良いの?
今回は特別ってことで、総務から各クラブ員の職場へ依頼が出されて、我々のクラブが始まって以来
初めて業務時間中にクラブ活動(=搬送作業)をしてしまうことで一件落着したのである。

不安がもう一つ。古い機械には付き物なんだけど油漏れがねえ、
完成したばかりの本社を汚しちゃあいけないんで、どうしよう。
博物館のように“あられの缶”をエンジンとミッションとデフの下に置いておこうかとも考えたのだが、
搬入時に漏らしちゃうかもしれない。
やっぱり万全を期して、漏れ出る可能性のある液体は全て抜き取っておこう。


10月初めのある日、港の部室へ回送されたトラックは入念に下回りをウエスで拭ってもらったAF7を載せて
熱田区の本社まで走り、またすぐにAF3を連れに港まで引き返してピストン輸送を行った。
本社では総務の職制2人がお出迎え、一般従業員が不審そうに見守る中を「このドア、どーやって開けるんだ?」と
ロビー入り口の自動ドアを抉じ開けながら2台をロビーへ押し込んだのであった。


うん、なかなか決まったんじゃないかな。晴れ舞台での姿は、こんなんでした。

吹き抜けの2Fから見下ろす。 社屋の外からロビーを見る。

さてさて評判の方はと言いますと、もちろん来社されたお客さんに好評だったし、おまけに通り掛った人が
ガラス越しに覗き込む姿も見受けられたから、良かったのではないかな。
残念ながら諸般の事情で短期間の展示ではあったけど、レストア作業中に描いていた目標を達成できたので満足。



ということで、次回はそろそろ最終回か。

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