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+ No25 + 「惜別」


今になって振り返ってみると、AF3の復元が完成してから後の数年間は
我々のクラブを取巻く環境が激変した時期でもあった。
復元活動の母体となっていた車両開発部門は規模を縮小した後に解散し港工場での車両生産も終了、
それに伴って車両業務に携わっていた社員達も全て新しい職場へ移って行ったのである。

クラブのメンバーも全員が異動となり勤務地も本社や永徳工場又は大江工場へと、復元活動の拠点であった
港工場から離れていったのである。
活動拠点と勤務地が異なれば昼休みや退社後の作業は出来ず、
次第に活動する機会も減って遂に復元作業は中断へ。
しかし勤務地変更だけが作業を中断させてしまった理由ではなく、やはりあの事が・・・

工場閉鎖の数年前に遡るのだが、この活動を立ち上げて全ての責任を一人で背負って推進してきた
「発起人氏」が定年となり、退職して遠方の地へ帰還されてしまったのである。
このレストア物語でも度々登場しているけど、発起人氏は活動を推進すると同時に我々クラブ員の
精神的な支えでもあっただけに、残された我々は何かをやる意義を見失ったかのような状態となってしまったのだ。
地道で根気の要る復元作業、粘り強く持続する精神力が要求されモチベーションの維持が最大の課題なのに。
復元作業の中断後のクラブ活動は”イベントへの参加”と”レストア物語の更新”だけ、
「本来の活動じゃないね」との声も聞こえてきたし自分達も納得していなかったが、どうにもやる気が起こらず
ズルズル数年の月日が経ってしまった。

今でも部室に掲示
今でも部室に掲示

基本的な事も
基本的な事も

我々クラブ員へのメッセージ
我々クラブ員へのメッセージ

そんな状態から5年ぶり(!)に作業を再開するきっかけとなったのは、やはり発起人氏であった。
定年退職し船着場付きの自宅で好きなヨットを満喫して悠々自適な生活をエンジョイしているのかと思ったら、
再就職して船具の開発をしたり、ドラゴンクラスの木造ヨットレーサーを復元したり、
“リーンマシン”や“ロケットバイク”“バンキングサイドカー”という怪しげな乗り物を作り上げたりと
創作意欲の旺盛さを窺わせるメールが度々届いたのだ。
うーん、刺激されるなあ。
そんな事から、そろそろ我々も!という気にさせられたわけ。

では発起人氏が作り出した怪しげな乗り物を紹介しちゃおう。

バンキングサイドカーという名前らしい 本人自ら試走中
バンキングサイドカーという名前らしい 本人自ら試走中

というわけで、発起人氏は我々のクラブから離れてしまったのだけど、じゃあ今後のレストア物語には登場しないのかって?
いやいや、今でも“やる気”と“貴重なアドバイス”を貰っているのだから登場しないと物語が進まない。

何事も成功体験が継続性を引き出すからね。
自分で工夫してやるレストアと業者に頼むレストアとは、その価値が天地の差だもんね。
レストアを楽しむためには、スローペースでやって下さい。
<最近いただいたアドバイス>

そうだねえ、クラブの「智恵袋氏」となって登場してもらうことにしようかな。



というわでAF3の物語はこれでお終い、さて次の物語は何になるかお楽しみに。

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